2017/12/27
平成31年度税制改正要約



一、個人所得課税見直し

1.  ふるさと納税の適正化.

→ふるさと納税の適用対象自治体は総務省が指定

@ 返礼割合(返戻品の金額/寄付金額)が3割以下

A 返礼品はその自治体の地場産品

→平成31年6月1日以降の寄付について適用

2.  源泉控除対象配偶者の重複制限.

→源泉控除対象配偶者(源泉徴収税額の計算上扶養人数に算入)→夫婦どちらかに限定

→平成32年分の所得税、平成33年分の住民税から適用

3.  子どもの貧困に対応するための個人住民税非課税措置.

→児童扶養手当を受けている児童の父母→現に婚姻していないまたは配偶者の生死が不明

→前年の合計所得金額が135万円以下→個人住民税を非課税に→平成33年分の住民税から適用

4  .国民健康保険税の上限引き上げ.

→基礎課税額に係る課税限度額を3万円引き上げて61万円に


二、資産課税

1  .住宅ローン控除の適用期間延長.

→消費税率10%である住宅を取得した者が→平成31年10月1日から平成32年12月31日までに居住

→1-10年目|現行の住宅ローン控除に加えて→11-13年目|下記の住宅ローン控除も可能に
@  住宅ローン残高(最大4,000万円*)×1%

A  住宅取得価額(税抜・最大4,000万円*)×2%÷3のいずれか小さい金額

 *認定長期優良住宅等の場合は最大5,000万円

 所得税額から住宅ローン控除額が控除しきれない場合

  所得税 の課税総所得金額×7%(最大13.65万円)まで住民税から控除可

2.  個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予の創設.

→認定相続人(承継計画に記載された後継者)が→平成31年1月1日から平成40年12月31日までに

→以下の「特定資産」を引き継ぎ、事業を継続する場合→その特定資産に対応する相続税の支払いを「猶予」する

 「特定資産」

 被相続人の事業(不動産貸付業は除く)に供していた以下の資産で土地|面積400uまで 建物|床面積800uまで

 償却資産|固定資産税、自動車税等の対象

 青色申告書に添付される貸借対照表に記載されたもの

3.  特定事業用宅地への小規模宅地等の評価減の制限.

→相続開始前3年以内に事業の用に供された土地を(除く|土地の評価額×15%≦その土地の上の減価償却資産の価額)

→平成31年4月1日以降の相続等で取得した場合(除く|その日以前から事業の用に供している)

→相続税について小規模宅地等の評価減の適用対象外に

三、金融、証券税制

1.  NISAの利用開始年齢の引き下げ.

→NISA(少額上場株式等の配当・譲渡所得非課税措置)

→適用開始年齢を現行20歳から18歳に引き下げ→ジュニアNISAの適用可能年齢は18歳未満に引き下げ

→平成35年1月1日以降


========================================================= 2017/12/15

平成30年度税制改正

基礎控除額の増額と給与所得控除額の削減

所得税においては、全ての人に対して適用される基礎控除があります。現状では38万円ですが、これを48万円に増額する方向で話が進んでいます。年収2,400万円を超えるような高額所得者については段階的に引き下げるようです。

そしてこれと併せて、給与収入を得ている人に対して適用する給与所得控除の削減が検討されています。それほど高額な給与収入でない(年収800万円程度まで)人については、差し引きゼロで負担が変わらないようです。それ以上の給与収入を得ている人については負担が増加することになりそうです。一方、給与をもらっていない自営業者らにとっては、基礎控除引き上げによる減税効果が発生します。

これらの改正には、
?比較的優遇されていると言われる高額な給与所得者に対する増税
?副業や兼業、小さな起業など多様化する働き方を支援する
といった狙いがあります。所得税制ではこれまで、一般的なイメージとは逆に自営業者以上に給与所得者に対して手厚く対応していた部分があります。「自営業者は何でも経費にできて良い」と言われがちですが、給与所得者には「何もしなくても経費として認められる部分がある程度ある」というのが事実です。今回の改正はそこに着手することで、働き方の多様化を促進すると同時に、高所得者に対して課税を強化するという格差解消の狙いがあるとみて良いでしょう。

経理担当者としては、毎月の源泉所得税計算について留意したいところです。給与所得控除が改正されれば、毎月の源泉所得税についても金額が変更します。平成30年1月から始まる新しい配偶者控除および配偶者特別控除の運用も含め、しばらくは毎月の源泉徴収や年末調整などで難しい対応を迫られることになります。

所得拡大促進税制の拡充

上で紹介した改正とは逆の話として、給与の引き上げを意図する検討も進んでいます。所得拡大促進税制の拡充です。 所得拡大促進税制とは、社員に対する給与の支払額を引き上げた企業について、その引き上げ額に応じて法人税等を減税するという仕組みです。この制度自体は始まってから数年経過しております。

制度の意図は、賃金水準を引き上げることにより、いわゆる中流家庭を復活させて消費の底支えをすることにあります。上で紹介した「高額所得者への課税強化」と対比させると、格差を是正する方向で改正が検討されていることがわかります。

本制度について、継続および拡充が検討されているようです。制度がかなり長期間に渡ってきたため、企業としても情報の処理にそれなりの手間がかかるようになることが予想されます。経理担当者としては「過去データの整理整頓」「雇用保険加入の有無」「役員および役員関係者の該当有無」など、本制度を適用するに当たって必要な各種情報について、円滑に取り出せるようにしておく必要があります。

事業承継関係

まず報道で出ているのが事業承継税制の拡充です。本制度は「一定の条件を満たしてその企業の株式を取得した後継者については、納税額の一部を猶予する」というものです。ポイントとなるのは免除ではなく猶予というところで、後継者は株式を取得した後、その事業をきちんと継続していかなければなりません。この事業承継税制について、拡充が図られる見込みです。 政府としては、中小企業経営者で急激に進行する高齢化問題については、早めに対応を進めたいようです。一部では「今後10年を目処に世代交代を進める」と断言している人もいます。中小企業の競争力低下は国家的な経済基盤の弱体化を意味します。上でも紹介した中流家庭の復活という観点からしても、これは見逃せない課題です。

事業承継税制に関しては、一部において世代交代の起爆剤として大きな期待を集めています。実際、最近の税務業界では事業承継が一大流行になっており、今回の改正検討もその流れを汲み取ったものといえるでしょう。本制度の活用が活発になってくる場合、日常的な経理について正確に処理をされていることが必要不可欠となります。現時点において企業価値がどれくらいであり、それが今後どのようになっていくのか?といった情報が読み取れない限り、事業承継税制を活用することは不可能だからです。

事業承継税制の拡充と相対する話として、一般社団法人を活用した租税回避の防止に関する改正も検討されています。こちらは一般社団法人を活用して相続税を回避するという仕組みについて防止をするためのものです。この一般社団法人を使用した仕組みは、高額所得者を中心に事業承継においても一部で活用をしている例がありましたが、あまりにも過剰な租税回避とも取れるような事例も多く、対応の必要性が指摘されていました。事業承継の側面からも、今回の改正検討が「格差解消」に主眼を置いていることが分かります。

結論

所得税における基礎控除が引き上げられ、一方で給与所得者に対する給与所得控除が引き下げられました。特に高額な給与所得者については大きく引き下げられます。

その一方、企業に対して給与水準引上げを支援する改正も進みます。事業承継についても中小企業における支援税制が拡充される一方、富裕層向けの特例的扱いを防止する改正が行われ、全体を通して「多様な働き方の支援」「格差の是正」など、社会的要請に応える形での改正と言えます。

個人所得課税

○ 給与所得控除等の見直し
○ 公的年金等控除の見直し
○ 基礎控除の見直し
○ 青色申告特別控除における控除額の引き下げ
○ 基礎控除の引上げ及び給与所得控除の引下げに伴う調整

資産課税

○ 事業承継税制の特例の創設等
○ 一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し
○ 小規模宅地等の特例の見直し
○ 農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し

法人課税

○ 所得拡大促進税制の改組
○ 情報連携投資等の促進に係る税制の創設
○ 大企業に対する租税特別措置の税額控除適用要件の見直し
○ 組織再編税制における適格要件の緩和
○ 租税特別措置法の期限延長
○ 収益の認識等について

国際課税

○ 恒久的施設(PE)関連規定の見直し
○ 外国子会社合算税制(タックスヘイブン税制)の見直し

消費課税

○ 国際観光旅客税(仮称)の創設

その他

○ 登録免許税、固定資産税、不動産取得税の見直し

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